イスタンブールの治安情報2018|リアルな体験レポート付き

トルコ

「トルコに行きたい」と言ったら、周りの人から反対された経験はないだろうか。

よくニュースでテロや紛争といった言葉と共に語られることが多い「中東」。きらびやかなモスクや世界三大料理であるトルコ料理に憧れるが、訪れることに関してはどことなく不安を抱えているという人も多いと思う。

そこで今回の記事では、2018年6月にイスタンブールで3泊4日した私が実際の体験談と共にイスタンブールの治安情報をお届けする。

イスタンブールの最新治安状況を一言で!


結論からズバリ言うと、現在のイスタンブールは「ほぼ安全」だ。滞在中にテロはもちろん、本当に危険な目に遭うことはほとんどなかった。

ただし、「ほぼ」と表現したのは街を歩く際などにある程度の注意が必要であるからだ。

 

この記事では、イスタンブール旅行で起こりうる危険を「①大規模な事件」と「②軽犯罪」の2つに分けて解説していく。①の大規模な事件としては、テロなどに巻き込まれることが挙げられる。②の軽犯罪は、スリやぼったくりが代表例である。

どちらも十分な準備をすれば、防ぐことができる可能性はかなり高まる

それでは、「大規模な事件」と「軽犯罪」のそれぞれの現状と、知っておくべき対策方法を確認していこう。

大規模な事件の現状と対策

外務省の海外安全ホームページによると、イスタンブール県は危険レベル「レベル1:十分注意してください」に指定されている

このレベル1は、4段階ある中で最も危険度の低いレベルである。

「大規模な事件」に関わる危険な要素として「テロ」「クーデター」「難民」「紛争」といった言葉が思い浮かぶのではないだろうか。あなたの周りの人も「テロは大丈夫なのか」などと言うかもしれない。

ここでは、これら4つのキーワードについて正確な情報による解説とそれらに対してどう対策するべきかをまとめていく。

①テロ

最初に「テロ」について。トルコは、主に過激派組織「イスラム国」と、国内の少数民族であるクルド人の独立を目指している「クルディスタン労働者党(PKK)」と呼ばれる組織によるテロに苦しんできた。テロの手法としては、車や銃を使ったものや自爆テロなど様々だ。

近年のイスタンブールでは2016年から2017年にかけて、観光客も訪れるイスタンブールの中心地でもテロが発生し、外国人も犠牲となった事件が起きている。しかし、2017年1月にナイトクラブで起こった銃乱射事件以降は、犠牲者の出る大きなテロは発生していない

②クーデター

「クーデター」とは、「政権を奪うことを目的に、現政権に対して武力による攻撃を行うこと」である。

トルコはこれまでの歴史において成功失敗どちらも含めて、何度も軍によるクーデターを経験してきた。最近では、2016年7月15日にクーデター未遂事件が発生した。この事件では、市民を中心とした250名が犠牲となった。

クーデター収束後、関係者らの捜査や取り締まりのために非常事態宣言が発出していましたが、現在では終了している

③難民

3つ目に「難民」について。2011年頃から現在まで続くシリア内戦の影響で、シリアと国境を接しているトルコに、大量の難民が流入してきた。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の2017年の調査によると、トルコは350万人以上の難民を抱えており、これは世界で最も多い難民受け入れ数だ。

しかし、実際に私がイスタンブールの中心街を散策していた限り、路上でたくさんの人が寝ているなどの光景は一度も見なかった。同じUNHCRの調査によると、実は90%以上の人が難民キャンプではなく、都市部で普通に生活を送っているのだ。

イスタンブール観光をするだけであれば、日本人がイメージする難民を見ることはまずないだろう。

④紛争

最後にニュースでよく聞く「紛争」について。同じくシリア内戦によって、トルコの南部の国境は常に不安定な状況にある。

実際に2018年の1月にもトルコ軍がシリア北部で軍事作戦を行うなどしている。そのため、外務省の海外安全ホームページでも、トルコの国境南端は「退避勧告」を示すレベル4の区域に指定されている

だが、それはトルコ南部の状況であり、イスタンブールからは遠く離れた場所のことだ。この紛争によるイスタンブール観光への影響はほとんどないと考えていいだろう。

 

このように、トルコという国全体で見ると、紛争の影響を受けて常に危険だと言える場所は確かに存在している。だからといって、「中東はテロや紛争で危険だからイスタンブールも危ない」というように一辺倒で考えるべきではないだろう。

ニュースで聞いたイメージそのままではなく、正確な情報から状況を理解することが大切だ。

大規模な事件に対してどう対策するか

これらの危険な要素の内で、現在のイスタンブールで遭遇する可能性があるのは「テロ」であろう。もちろん、2017年以降発生していないので、起こる確率は以前に比べてかなり低くはなっている。

テロが発生する場所には傾向がある。そのため、私たちにできることは「テロの標的となる場所を知り、その場所になるべく近づかない」ということであろう。

外務省が「4段階のレベルの高さよりも注目してほしい」としている「危険情報の本文」に、テロなどの危険を避けるための対策が述べられている。以下に、「危険情報の本文」から抜粋して引用する。

イスタンブールへ渡航・滞在される場合には,治安当局の施設などの政府関連施設,各国在外公館や外国人利用客が多い飲食店等,不特定多数の人が集まる施設はテロの標的となり得ることに留意してください。また,そのような場所を訪れる際には,不審な状況を察知したら速やかにその場を離れるなど,安全確保に注意を払ってください。

イスタンブール県では,政情や社会情勢を受けて,以下のようなデモや抗議活動が突発的に行われることがあります。それに対し,警察当局も放水銃や催涙ガス等を使用し,強制的に排除する場合もあるため,デモ等に近づくことは非常に危険です。

これは、以下のように要約することができる。

  1. 人が多く集まる場所と政治関連施設の近くでは、常に周囲に注意すること
  2. デモ活動には近づかないこと

観光地を回るだけであれば、政治に関連する施設に近づくことはないはずだ。「人の多く集まる場所はテロの標的になる可能性がある」という点を頭に入れておくといいだろう。

 

また、大統領選挙など政治に関連するイベントがある期間の渡航は特に気を付けた方がよい

実際に、私はイスタンブール渡航前にトルコ人の友達に「大統領選挙中に来るのは、やめておいた方がいい」と注意された。これは、政治関連のイベントがテロの標的となる可能性があることや、デモが発生する確立が高くなるからだ。

選挙期間中はトルコ人でも注意するようだ。政治に関連するイベントは頻繁に行われるわけではないが、事前に渡航日が何かのイベントと重なっていないか確認しておくといいだろう。

軽犯罪の体験談と対応方法

ここからは、私がイスタンブールの男一人旅中に実際にあったヒヤリとした「軽犯罪」未遂の体験談とその対策方法を紹介していく。

トルコ人は、「超」と付けていいほどフレンドリーな人が多い。バスで隣に座ってきた人が話しかけてくることなど普通のことだ。

つまり、街で話しかけられても多くの場合は、ただの善良な人の可能性が高い。しかし、残念ながらその中にはあなたの金品を狙っている人も紛れているのだ。

体験談①:話しかけてくる人たち


特に、中心街であるスルタンアフメットの通りを夜に歩いていると、絶え間なく人に声をかけられる。トルコ人に限らず、アラブ系の観光客と称する男性にもだ。

声をかけてくる方法は決まっている。最初はたいてい「君は日本人かい?」や「駅はどっちか知ってるか?」といった普通の質問を英語でされ、聞いてもいないのに自己紹介が始まる。そして最後に「良かったら一緒に飲まないか?」が別れ際の決めゼリフだ。

もちろん、本当に友達が欲しいだけの人もいるかもしれない。私は滞在4日間の合計で10回以上もこのような誘いを受けたが、全てを断ってきた。

 

イスタンブールを訪れた他の人の体験談を見れば分かるが、この中には恐らく「ぼったくりバー」へのお誘いをしてくる人がいる可能性が高いのだ。ある程度会話をして仲良くなった後に、店に連れて行き、店とグルになって高額な代金を請求してくるケースが多い。

対策として、道端で話しかけられた場合、絶対に彼らが紹介するバーやレストランに行かないことだ。

「どうしても友達を作りたい!」という場合は、私の紹介しているようなバー付きのホステルに泊まるというのも一つの手だろう。ホステルのバーであれば、比較的安心して夜遅くまで楽しむことができる。

イスタンブールの穴場ゲストハウス『オールドシティホステル』に宿泊

2018.08.01

 

男の私ですらこれだけ声をかけられる。女性の場合、特に夜は暗い道や一人でいることは避ける方がいいだろう。どんなに信用できるように思えても、絶対についていってはいけない。

中には、流ちょうな日本語で話しかけてくるトルコ人も。「10年間仙台に住んでた」や「いとこが日本人と結婚した」などと盛りだくさんのエピソードを話してくれる。

私には外見だけでぼったくりかどうかを判別することができないので、飲みのお誘いは「明日の朝一番でモスク見に行くから」や「今日は一日中歩き回ってもう疲れた」などと理由を付けて全て丁重にお断りした。犯罪者と決め付けるのも良くないので、最低限のマナーは守って断るのがいいだろう。

体験談②:制服を着た絨毯(じゅうたん)売り


トルコといえば、トルコ絨毯。そしてトルコのぼったくりといえば、絨毯売りが有名だ。観光客に親しげに話しかけた後、店に招き高額で絨毯を売ってくることがある。

この絨毯売り、グランドバザールだけだと思いがちだが、私は全く関係のない場所で遭遇した。

 

私はトプカプ宮殿の観光を終え、人も車もあまり通らない道を歩いていた。すると、交差点の隅に1人の制服を着たおじちゃんが小さな椅子に腰かけているのが目に入った。

彼は目が合うと、親しげに「君、道は分かるか?」と話しかけてくる。私もおじちゃんの制服を見て安心し、しばらく談笑していた。

すると、おじちゃんは急に「うちは、絨毯屋やってるんだ。よかったら見に来ないか?」と誘ってきたのである。

 

もちろん、これまた「学生の貧乏旅行じゃ絨毯は買えない」と言ってお断りした。改めて、油断は禁物だと学んだ一幕であった。この場合も、見た目やいる場所にダマされてその人についていくことは絶対にするべきではない

体験談③:親切な靴磨き


これは、エミノニュ地区とカラキョイ地区を結ぶガラタ橋を渡っていた時のことだった。現地でできたトルコ人の友達と2人で橋の上を歩いていたところ、1人の靴磨きのおじちゃんが通りかかった。その時、おじちゃんが仕事道具の木の板を落としたのだが、気付かずに歩いていってしまった。

優しいトルコ人の友達は、それを拾って追いかけてあげたところ、「感謝の証として靴磨きをしたい」と言われた。私も一緒になって、2人で「どこから来たの?」などと簡単な英語で会話をしながら、靴を磨いてもらっていた。

しかし、いざ靴磨きが終わると、おじちゃんはひるがえってすごい剣幕で「1人20リラだ」と金を請求してきたのだ。友達と目を合わせて走って逃げたが、幸い追ってくることはなかった。良い人もいるものだと信じきっていたため、何だか後味の悪い経験であった。

その他の注意点

最後に私が体験しなかったが、他にイスタンブールで多い犯罪の例を挙げていく。

  • タクシーでのぼったくり:わざと遠回りをされて、高額な料金を請求されるなど
  • ひったくり:車やバイクに乗った人に、カバンをひったくられるなど
  • スリ:写真を撮るよう頼まれたり、物を売りつけられたりしている際に、財布を盗まれるなど

どれも海外旅行をするのであれば、どのような行先であっても気を付けるべきことだ。

例えば、イスタンブール観光はタクシーなしでも行うことができる。イスタンブールはトラムなどの交通手段が充実しており、日本で言うパスモやスイカといった便利でお得なICカードもある。タクシーをわざわざ使わなくても、安く観光を行うことが可能なのだ。

初めてでも安心!イスタンブールカードの買い方&使い方マニュアル

2018.08.22

まとめ


最後に、ここまで解説してきたイスタンブール旅行で気を付けるべきことをまとめてみた。

大規模な事件への対策
  • 人が多く集まる場所と政治関連施設の近くでは、常に周囲に注意する
  • デモ活動には近づかない
  • 選挙期間など政治的イベントを開催中の渡航はなるべく避ける
軽犯罪への対策
  • 道端で知り合った人には絶対についていかない
  • リュックを前で背負うなど、貴重品に気を付ける

ここまで長々と解説してきたが、最低限のことを気を付ければ、他の旅行先と安全性はほとんど変わらない。

「中東は危ない」というイメージだけからイスタンブールを訪れないのは、もったいないと私は思う。ぜひ、安全に十分注意した上で、イスタンブールの素晴らしい食や雄大な景色を楽しんできていただきたい。